４日、東北新幹線は全線開業１周年を迎えた。個人的には開業から１年経ったのかという想いよりも、あの前夜祭からもう１年も経ったのかという想いの方が大きい。
　
　約１年前、前夜祭の実施が予定されず、開業を前にした市民の意識の低さに愕然としたことが印象に残っている。そして苦悩の末、「ならば自分たちでやってやろう」と立ちあがった日が懐かしい。
　
　昨年１２月３日に開催した「高校生がつくる 東北新幹線開業前夜祭」は、地域にとっての大きな契機を祝うイベントで、１から１０まですべて高校生手作りという、新幹線開業記念イベントとしては全国でも類を見ないものであった。そのようなイベントで小生は実行委員長を務めさせていただいた。イベント準備を通して、地域の大人の方から多大なる協力を賜り、子供だけでは地域を動かすのは難しく、地域住民との連携によって初めて地域を動かせるのだと気付いた。イベントに携わった高校生は６０人近く。小生含め６０人の一人ひとりが、新たな気付きを得て、イベントを通じて一回り大きくなったに違いない。
　
　今回は開業１周年の前夜祭が行政の手によって開かれた。この一年で、行政の意識・市民の意識が少しだけ、しかし着実に動いたのかなと感じる。
　　
　開業前夜祭に携わった６０名の高校生は、毎年１２月４日にあの前夜祭を思い出すに違いない。（久保田圭祐）

　本紙の各種記事は高校生・大学生によって執筆されている。彼らは取材活動などを通して何を感じ、何を考えているのか。その核心に迫る。（この連載は田名辺一至ほか編集部が担当します）