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第5回
私の前夜祭
平成24年3月12日月曜日

 東日本大震災から1年を迎えた。あの日、東北は烈震に襲われた。そして、大津波が、そこにいた人びと、そこにあった生活を流していった。死者・行方不明者は1万9000人を越える。数え切れないほどの「当たり前」が奪われた。

 震災直後、北東北は全域に渡って停電した。その日、青森は氷点下2度を記録し、市民は寒さと余震の恐怖に身を震わせた。

 私は昨年、被災地を三度訪問し、惨状を目の当たりにしてきた。6月に宮城県東松島市、7月上旬に同県塩釜市、下旬に同県石巻市を訪れた。被災者はヘドロを被った家財道具の処理に苦労し、その後の生活に不安を抱えているようであった。

 3度の被災地訪問で、強く印象に残ったシーンがある。それは東松島市で津波のヘドロを取り除いていた時のことだ。当時復旧工事中だった仙石線の線路上を3人の小学生が歩いていた。少年たちは私に「どこから、やってきたの?」と話しかけてきた。彼らは気丈にも自ら震災の話をしてくれた。その中で「いつになったら、もとの生活に戻るのかな」と一人の少年がボソッとつぶやいた。それから8カ月。果たして彼らのもとに復興の槌音は聞こえてきたか。(久保田圭祐)


2011年6月東松島市にて


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