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提 言 平成23年3月31日
はやぶさデビュー

 30日、青森・弘前・盛岡に中三百貨店を展開する株式会社中三(本社青森市・向中野光秀社長)が、青森地裁に民事再生法の適用を申請、経営破たんした。
 
 東京商工リサーチによると、負債総額は平成22年8月時点で114億7400万円。中三百貨店は、1896年に五所川原市に開店した呉服店が始まりで、1950年に法人化した。最盛期には、現在の三店舗のほかに五所川原店・秋田店と五店舗を展開、1998年には416憶円の売上を計上したが、近年の不況により売上は185億円(平成22年8月時点)にとどまっており、今回の震災による消費低迷、14日の盛岡店爆発事故により盛岡店を長期休業にせざるを得えず業績回復が望めなくなったことにより、今回の経営破たんに至った。
 
 中三百貨店は青森県内では唯一の地元資本の百貨店だった。また、地域に根差した店舗運営をしており、青森店も、地元中心商店街との連携を密にしていたことから、今回の経営破たんは非常に残念である。
 
 現在、三店舗はすべて臨時休業している。青森店・弘前店とも商店街に隣接しており、客足への影響が懸念される。青森店は、ニコニコ通り商店街・昭和通り商店街などと隣接しており、万が一、今後も再開されない場合、中心商店街には大きな打撃が予想される。中心商店街にとって中三青森店は大きな「顏」であり、集客源ともいえる。これが無くなれば、客足は激減、商店街各店舗にも影響が及ぶと言わざるを得ない。今回の破たんによる連鎖的閉店も考えられる。
 
 観光客は、シャッターに敏感だ。青森ディスティネーションキャンペーン(青森DC)を目前に控え、中心商店街に大きな穴が空いてしまえば、観光プロモーション的にも影響が出るだろう。
 
 今回の経営破たんは2003年の松木屋を超える規模であり、中心商店街に大きな打撃を与えるに違いない。青森市は、これまでも中心商店街に対して手厚い支援を行い、商店街もそれに応えた活性化策を行ってきた。しかし、観光の経営破たんにより、行政・商店街の双方に更なる戦略が求められる。今回の破たんで失われた客足を各店舗が独自に努力するのではなく、商店街の垣根を越えて中心商店街全体として一つの大きな努力をしなければ、百貨店一つの客足を取り戻すことは極めて難しいだろう。
 
 昨今、郊外のショッピングモールに押され、中心商店街への客足は減少傾向にあったが、今回の破たんにより更に減少幅は加速するだろう。大震災による景気低迷を迎え、中心商店街はこれまでにないほどの大きな正念場を迎えた。