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第1回
身近なモノに目を凝らす
文筆 あおもり話題チャンネル統括記者 田名辺 一至

 平成22年9月18日付朝日新聞のザ・コラム「津軽が教える気候変動」を読んだ。記事では、長い歴史において幾度もの気候変動による弊害を津軽の人びとが粘り強く耐えてきたことに言及し、今の日本が便利さや開発の追求で失った「ぬくもり」が津軽は宿していると綴っている。
 
 この記事の中で弘前出身の文芸評論家 三浦雅士さんが「津軽的とは極端である」と述べていることがとても印象的だった。なるほど。確かに津軽的なものは極端である。津軽の冬は世界的に見ても寒さや降雪量が極端だ。津軽の祭り、青森ねぶた祭の熱気も極端である。津軽のあの、しょっぱめの味付けも極端かもしれない。人情だってそうだ。私も、津軽の人に取材のときに助けてもらったことがある。
 
 極端というと、津軽弁も外せない。現在放送されているトヨタ自動車の「パッソ」のコマーシャルは津軽弁がテーマだ。森三中が出演していて「せばだばやってみらー」というフレーズが印象的なコマーシャルだ。津軽に長らく住んでいる私も最近までCMの全編が津軽弁だとは気がつかなかった。つまるところ、津軽弁の難解さは極端すぎる。
 
 東北新幹線新青森駅開業まであと40日あまりだ。最近、テレビや新聞で「おもてなしの心で観光客を迎えよう」とよく聞く。観光客にとって「印象」は大切だ。悪印象なことがあると、それまでがどれほど楽しい旅行だったとしても一瞬で台無しになってしまう。すると、もうその地には旅行には来ないだろう。嫌な思い出が蘇るからだ。しかし、印象が良い旅行になると、もう一度行きたいと言ってリピーターになってくれる。映画にしても演劇にしてもエキストラは大切である。主役を引き立たせるからだ。旅行に関しても同じことが言える。観光名所を主役とすると、エキストラは、地元住民だ。そう、地元住民は旅行にとって大切な要素なのだ。
 
 「津軽的おもてなし」とは極端に温かいおもてなしだと思う。それは大変だ、と気を張る必要はない。津軽人はもともと極端に温かいから、そのままでいいのだ。今後、開通により増える観光客に、道などを尋ねられることもあるだろう。恥ずかしがらずに、いつもの雰囲気で答えて欲しい。それが、観光客にとって一番のおもてなしになり、一番の思い出になるであろう。